〜 症 状 〜
* 最初は冷風が出ているが、時間と共に効きが悪くなる。
* 信号待ちなどで停車中、アイドリング状態では冷風が出ない。
* 午前中の気温が低い時間帯は冷風が出ている。
* 昼間の暑い時間帯は全く冷えない。
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〜 エアコンの故障箇所は? 〜
エアコンが冷えない場合、冷媒ガスのガス漏れが原因であることが多いのですが、今回は他に原因があるようです。
まず、配線の点検しました。
カプラ付近での接点不良が多いことから、カプラを外してCRCを吹きつけ、着脱を繰り返してサビを落としてみましたが変化なし。
次にレジスター(抵抗)をテスターで通電チェックしている時、クーリングファンが回っていない事に気が付きました。
クーリングファンが回らない原因として、冷媒ガス不足が考えられます。
冷媒ガスが不足していると、コンプレッサーが作動しても冷媒ガスの圧力が高くならず、圧力スイッチが入らないので電動ファンが回転しません。
しかし、先に述べたように最初は冷風が出ている事から、冷媒ガスの不足ではないようです。
〜 診 断 結 果 〜
どうやらクーリングファンのモーターが原因のようです。
モーターが故障して回らなくなってしまった為、熱くなった冷媒ガスを冷やすことが出来なくなり、保護回路が働いてコンプレッサーの電磁クラッチがオフになってしまうようです。
(走行中は風で高圧パイプが冷やされ、一時的にコンプレッサーが作動して冷風が出ていました。)
〜 モーターを分解・点検 〜
クーリングファンを手で回してみたところ、スムーズに回転しました。
※ モーターが焼き付いてロックしていた場合、残念ながら手の施しようがありません。
クーリングファンを車体から外した方が作業しやすいのですが、配管を損傷する恐れがありますし、何より時間が掛かってしまいます。
とりあえず…
モーターのフタが6ヶ所のツメで止まっているだけだったので外してみました。
カーボンブラシのブラケットも外しました。
コイルはとてもキレイで、断線では無いと思います。
クーリングファンのモーターのカーボンブラシが、長期使用により磨耗して
シャフトのコミュテーターに接触せず、電流が流れない状態になっていました。
( 特に矢印で示した2ヶ所 )
簡単に言ってしまえば、モーターの寿命です。
モーターは電気ドリルやグラインダーのように、ブラシを交換する前提で
作られていないからです。
修理屋に持ち込んだ場合、クーリングファンのユニット丸ごと交換になるでしょう。
しかし、修理屋の返答は「メーカーにも在庫が無い。入荷未定」との事。
無い物は仕方がない…
モーターを自分で修理するしかないようです。
〜 モーターの修理 〜
手元に交換可能なスペアブラシが無かった事もあり、とりあえずコミュテーターに接触していない2ヶ所に手を加えました。
電源ケーブルはブラシではなく、スプリングの方に半田付けされていたので簡単に加工出来そうです。
良く見るとブラシの根元に小さな突起があり、これがストッパーになっているようです。
この突起をルーターで削り、移動量を増やす事でコミュテーターに接触させました。
ブラシブラケットをモーター本体に組み付ける時、ストッパーを削った為にブラシが抜け落ちてしまいます!!
今回は加工したブラシが2ヶ所だけだったので、指で押さえながらモーター本体に組み付けることが出来ました。
モーターのフタをはめ、ツメを折り曲げて応急処置完了です。
〜 結 果 〜
エアコンのスイッチを入れるとクーリングファンが勢い良く回り出し、車内の吹き出し口から冷たい風が出ています。
このまま使用出来そうですが、近日中にブラシを交換した方が良さそうです。
もちろん純正ブラシは入手困難なので、代替品としてグラインダーのブラシを加工して取り付ける予定です。
〜 2ヶ月後、ブラシの交換 〜
やはり、ブラシの磨耗が激しがった事もあり、ファンモーターから「カリカリッ」という感じの異音が発生しました。
再びモーターを分解して確認すると、ブラシが斜めに削れていました。
ブラシが短い為、レールで保持出来なかったようです。
※ 説明が難しいので図解しました。
予定通り、ディスクグラインダーのブラシを代用する事にします。
2枚の画像の左側がファンモーター、右側がディスクグラインダーのブラシです。
厚みは同じですが、幅が違うので加工が必要です。
もっと硬い物だと思っていたのですが、軽くヤスリの上を滑らせるだけでドンドン削れていきます。
考えてみれば、カーボンって炭素でしたね。
強度に不安を感じますが、電動工具用ブラシは高速回転・高トルクで使用される部品なので問題ないと思います。
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